【介護の転職】退職後の手続き3つと得する手続き3つ

転職・就職

介護の仕事は安定してきていて、介護の転職率は他の業種と大きく差がないところまで来ています。
それでも、なんらかの理由で次の職場を探す人は沢山います。

転職先を決めてから退職する人、しばらく休んでゆっくり就職活動をする人など様々かと思いますが、退職後の手続きは大丈夫でしょうか?

しばらく休むけど、何か手続きはあるの?
次は非常勤で就職するけど、保険はどうしたらいいの?


初めての転職となると、何をしていいのか分からない人もいらっしゃるかと思います。

ここでは、退職後に必要な手続きと、知ってさえいれば得をする手続きを紹介します。

介護の転職 必要な手続き

介護施設を退職し、日を空けずに就職する場合は、次の職場が必要な手続きをしてくれるので、何も申請は要りません。

しかし、一日でも期間が空く場合は、次の手続きをしておくと安心です。

  • 健康保険の切り替え
  • 年金の切り替え
  • 失業保険の手続き

失業保険の手続きは、必ず申請する必要はありませんが、手続きを行うと給付金が貰えます。
それぞれ「どのような保険なのか」「なぜ手続きが必要なのか」「申請方法」など見ていきましょう。

健康保険の切り替え

健康保険とは、会社勤めをしている人が加入する医療保険制度です。この保険に加入していると、病気やけがまたは出産などで働けなくなった時に、健康保険から手当が給付されます。

つまり、健康保険の切り替えを行わないと、けがや病気で病院を受診した時に、医療費が全額負担となります。

退職して次の会社で働くまで、期間が一日以上空く場合は、申請が必要です。
すぐ転職する場合は、基本的に会社が手続きをしてくれるので、申請は要りません。

健康保険の切り替えを行うと、次のどれかに新しく加入が必要です。

  1. 健康保険を任意継続
    前職の健康保険を最長2年間継続することができます。
    短期間なら継続したほうが費用を抑えられるようですが、詳細は組合に聞いてみてください。
  2. 国民健康保険に加入
    自営業・フリーランス、学生などが加入する保険制度です。
    派遣やパートで働く人などはこちらの選択も可能です。
  3. 家族の社会保険の扶養に入る
    同居する家族がいて、了承するのであれば一番お得です。
    扶養に入るための条件は、勤務先の加入する健康保険組合によって異なります。

健康保険の加入先が決まったら、申請が必要です。

加入先の保険によって用意する書類が違うので、それぞれみていきましょう。

健康保険を任意継続する場合の必要書類

健康保険を任意継続する場合は、退職後20日以内に健康保険組合か会社で手続きを行います。
その際に必要なものは以下の通りです。

手続きに必要なもの
  • 健康保険任意継続被保険者資格取得申請書
  • 住民票
  • 1ヵ月分の保険料
  • 印鑑

最長2年間継続が可能です。
在職中は保険料の半分を企業などが負担していますが、退職後は全額自己負担になるため、支払額が増えることがあるようです。

国民健康保険に切り替える場合の必要書類

国民健康保険に切り替える場合は、退職後14日以内にお住まいの市町村へ、下記の書類を準備して申請を行います。

手続きに必要なもの
  • 健康保険被保険者資格喪失証明書、退職証明書・離職票のいずれか一つ
  • 運転免許書やマイナンバーカードなどの身分証明書
  • 印鑑

手続き自体は市役所、区役所の国民健康保険担当課の窓口で10分ぐらいで終わります。

家族の扶養に入る場合

家族の社会保険の扶養に入る場合は、年収130万円未満で3親等以内の家族に限ります。
家族が勤めている会社に以下の書類を速やかに提出しましょう。

手続きに必要なもの
  • 健康保険被扶養者異動届
  • 続柄を確認するための書類(世帯全員の住民票または戸籍謄本)
  • 収入要件確認の書類
  • その他必要書類

扶養に入るための条件は、勤務先の加入する健康保険組合によって異なることがあるので確認しましょう。

年金の切り替え

年金とは、加齢や障害によって働けず、収入を得ることが困難になった人が、生計を立てられるように援助してくれる社会制度です。
障害や死亡を予想することは困難なので、そのリスクに備えるために年金制度があります。
また、高齢になって働くことが難しくなった時にも、年金が受給できます。

現職で介護事業所などに勤めていれば国民年金第2号年金(厚生年金など)に加入しています。
これを、第1号の国民年金か第3号の家族の扶養に切り換える必要があります。

退職後に年金の切り替えを行わないと、年金の受給期間が「未加入」となり将来年金が貰えない、または給付額が少なくなります。

退職して次の会社で働く期間が1日以上空く場合は、年金の切り替えが必要です。
日にちを空けずに就職する場合は、会社が手続きを行うので何も申請は要りません。

  • 自営業やフリーランスが加入する国民年金第2号(一般的に言う国民年金)に切り換え
    厚生年金保険等(国民年金第2号)から国民年金(国民年金第1号)へ切り替えます。
    市役所、区役所などで10分もあれば切り替えができます。
  • 家族の扶養に入り、国民年金第3号(扶養の人用)に切り換え
    健康保険同様、年収130万円未満で3親等以内の家族に限ります。
    配偶者の勤務先を通して、書類の提出を行います。

国民年金か家族の扶養に入る場合では、必要な書類が異なるので、それぞれご紹介します。

国民年金に切り替える場合の必要書類

国民年金に切り替える場合は、退職後14日以内にお住まいの市町村で下記の書類を準備し、申請が必要です。

手続きに必要なもの
  • 年金手帳
  • 離職票または退職証明書
  • 身分証明書
  • 印鑑

市役所や区役所の保険年金課で10分もあれば完了します。

家族の扶養に入る

健康保険同様、年収130万円未満で3親等以内の家族に限ります。
国民年金第3号被保険者になるための資格取得の手続きは配偶者の勤務先を通して、書類の提出を行います。

手続きに必要なもの
  • 国民年金第3号
  • 世帯全員の住民票
  • 源泉徴収
  • 離職票または退職証明書のコピー

失業保険の手続き

すぐ転職をした場合、申請は要りませんが、次の就職先が決まっておらず、退職後に新しい職場を探す場合は、失業保険の手続きができます。

失業保険とは、仕事を辞めて次の仕事を探している人が、安定した生計を立てながら再就職活動ができる制度です。

失業すると、収入がなくなり安定した生活を送ることが困難になります。失業保険を給付することで、その生活を守り、安心して就職活動を行うために制度があります。

もし失業保険の給付中に次の職場が決まったら「再就職手当」という制度をご存じでしょうか。

再就職手当とは?

再就職手当とは、失業保険の給付を受けている人が、早い段階で次の職業に就いた場合に支給される手当です。

支給される手当は、失業保険の給付日数の残りによって異なり、具体的には下記の通りです。

  • 失業保険の給付日数が3分2以上の場合、基本手当の支給日数残の70%
  • 失業保険の給付日数が3分1以上の場合、基本手当の支給残日数の60%

つまり、失業保険の給付期間内に早く就職すると、多くの手当が貰える仕組みとなっています。

では、失業保険の給付期間や金額はどれくらいになるのでしょうか。

失業の給付期間と金額について

失業保険の給付期間は、「自己都合」と「会社都合」で異なり、さらに雇用保険の加入期間などで違います。給付期間の詳細は、ハローワークで確認しましょう。

失業手当の給付金額は、1日あたりの支給金額を計算して決まります。(年齢に応じて上限があり)

計算方法は、前職での6ヵ月分の平均給料を算出したものに、給付率(50%~80%)掛けると失業手当の一日あたりの給付額が計算できます。

手続きに必要なもの

失業保険を申請するには、お住まいの市町村が管轄するハローワークで行います。手続きに必要なものは次の通りです。

手続きに必要なもの
  • 離職票1と2
  • 身分証明書
  • 印鑑
  • 本人名義の通帳、キャッシュカード

広域の市町村ではハローワークがいくつかあり、区などで管轄が分かれている場合があります。
自分の管轄エリアを調べていきましょう。

しばらく休むのなら得する手続き

退職後にしばらくの間休む場合は、下記の手続きをすると税金が還付されたり、納付の免除になったりと得をする可能性があります。

  • 年金と保険の免除制度
  • 税金の還付金申告
  • 住宅確保給付金

それぞれ詳しく解説するので、自分は申請ができるのか確認してみてください。

年金と保険の免除制度

失業で収入が減少し、国民年金や健康保険料を納めるのが難しくなった場合に、免除または軽減できる制度があります。

国民年金の免除制度

国民年金は「免除制度」「猶予制度」の2つあります。
該当する人は、本人と配偶者の前年所得が一定の金額以下ですが、失業した人は「前年の所得が対象外」となる特例が適用されます。

「一定の金額」はお住まいの市町村で違うので、詳細はお問合せください。

免除や猶予の申請がおりた期間は、年金の受給期間に加入しているので、未納にはなりません。
しかし、免除した分だけ年金受給額は減ってしまいます。

そのため、将来の年金受給額を取り戻せる「追納」制度があります。

10年以内であれば保険料を後から納められるので、働き始め収入が増えてきたら払っておくことがおすすめです。

国民健康保険料の免除制度

健康保険料の減免は「国民健康保険料減免制度」を利用しましょう。
この制度の対象者は「所得の激減」や「倒産・解雇」「災害など」3つの理由を減免の条件としている場合が多いです。

「所得の激減」の具体的な条件は、今年の見込み所得と前年の所得を比較して、約3割以上減収があった人です。

しかし、市町村によって、異なるので詳細は市町村へ問合せしましょう。

税金の還付申告

税金の還付金とは、所得税の支払いが多かった場合に納税者へ返金される税額のことです。

所得税は給与から天引きされる時、事前に知りうる情報で決定されているので、正確な金額ではありません。そのため年末調整が必要になるのです。

介護事業所などに勤めている場合は、年末調整の書類を記入すると会社が申請を行い、給与と一緒に還付金が振り込まれるケースが多いです。

しかし、退職している場合は年末調整が受けられないので、自分で確定申告する必要があります。12月31日の時点で、どこにも在職していない場合は、自分で確定申告を行いましょう。

確定申告を行わないと、所得税を払い過ぎた状態なので、損をしてしまいます。

還付申告は、1月1日から5年間まで申請ができます。つまり、退職後に還付金の申請を忘れていた場合でも、5年以内であれば申告が可能です。

その時に必要なものは次の2つです。

手続きに必要なもの
  • 源泉徴収票
  • 各種控除証明書(生命保険、地震保険、医療費など)

作成方法は、国税庁のホームページの「確定申告書等作成コーナー」からがおすすめです。
画面の案内に従って、金額を入力していくだけなので、簡単に作成ができます。

申請書が完成したら、印刷してお住まいの管轄の税務署へ提出しましょう。

住居確保給付金

住居確保給付金は失業や廃業によって収入が減少し、家賃が払えなくなった人を対象に、市町村が家主に直接賃料を払ってくれる制度です。支給期間は原則3ヵ月ですが、延長申請が2回可能なので、最大9ヵ月まで利用できます。

対象者は、以下の4つの条件がすべて当てはまる人です。

  1. 離職から2年以内または、就労機会が減少した人
  2. 市町村が定めた世帯収入を下回っている
  3. 世帯貯金額が100万円以下
  4. ハローワークへ求職を申し込み、活動を行っている

4.に関しては休業や自分の意思に関係なく働く機会が減少している方は、ハローワークへの求職活動の申し込みは不要です。

手続き方法は市町村が運営している「生活困窮者自立相談支援機関」に申請書を提出します。

その時に必要なものは次の通りです。

手続きに必要なもの
  • 住宅確保給付金申請書・確認書
  • 本人確認書類
  • 収入が確認できる書類
  • 預貯金が確認できる書類
  • 離職、廃業や就労日数、就労機会の減少が確認できる書類
  • 住宅に関する状況通知
  • 求職受付票(ハローワーク)

自立相談支援機関がお住まいの市町村に、提出した申請書を送付し、給付が決定したら家主に賃料が支払われます。

住宅確保給付金の支給額は、お住まいの市町村や世帯人数によって異なりますので、ホームページまたは窓口へ直接お問合せください。

退職後の手続きは知っていると得なことも多い

退職後の手続きは、必要な書類を揃えたり、窓口で申請したりと大変そうですが、実際にやってみると意外とあっさりと終ります。

それでもしっかり計画を立てて、何の書類が必要なのか事前に確認しておきましょう。

面倒ですが、退職後にきちんと手続きを行うと、所得税が返ってきたり、失業手当がもらえたりお得です。

つまり、適切な手続きをすれば適切な給付金が貰えます。

制度を上手く活用して貰えるべき給付金は貰いましょう。

この記事は専門家が監修しています
介護福祉士/終活アドバイザー
青葉 時生

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