介護職は給料が低いという話をよく耳にするのではないでしょうか?
結論から言うと、処遇改善加算などの対策もあり、実際は他業種と変わらないレベルまで引き上げられています。
以下のことから、低いという印象が残っているようです。
- 肉体的精神的な負担が給料と釣り合っていない
- 事業所により処遇改善加算を得ることができない
- 残業時間が少ない
では、実際に賃金はどれくらいの位置にいるのかを分かりやすく解説します。
介護職員の給料は本当に安いのか

事業所別の比較、他業種との比較をして本当に介護職の給料がどれくらいのレベルなのかを解説していきたいと思います。
介護職と他産業の比較
下の表は令和4年厚生労働省発表の産業別平均賃金の表です。
青い線は平均勤続年数になります。

全産業平均の約327千円に比べ、福祉業は296.7千円と若干低めとなっています。
しかし、青のラインを見てもらうと分かる通り、勤続年数は最小クラスの9.1年と短い勤続年数でサービス業、飲食業、運輸業、娯楽業を越えた賃金ということが分かります。
更に、右の表では年齢別の平均賃金を見ることができます。
この表では、50代では男女ともに福祉業が一番の高賃金になっています。
このことから、スキルアップ、キャリアアップを重ねることで平均を超えた賃金を得ることができるということが分かってきます。
介護職の事業所別給料
以下は、介護事業所別の平均給与額です。
平均になるためベテランやリーダーになるともう少し高賃金が予想されます。
介護職員の平均給与額の状況(月給・常勤の者、サービス種類別) | |||
令和3年9月 | 令和2年9月 | 差 (令和3年-令和2年) | |
介護老人福祉施設 | 328,120円 | 306,400円 | 21,720円 |
介護老人保健施設 | 323,770円 | 301,650円 | 22,120円 |
介護医療院 | 290,140円 | 280,420円 | 9,720円 |
訪問介護 | 286,920円 | 272,500円 | 14,420円 |
通所介護 | 275,670円 | 264,730円 | 10,940円 |
通所リハビリテーション | 326,940円 | 318,560円 | 8,380円 |
特定施設入居者生活介護 | 313,160円 | 299,590円 | 13,570円 |
小規模多機能型居宅介護 | 267,470円 | 255,860円 | 11,610円 |
認知症対応型共同生活介護 | 287,670円 | 277,660円 | 10,010円 |
全 体 | 293,800円 | 280,390円 | 13,410円 |
施設関連の平均賃金は夜勤があるため、デイサービスや訪問介護に比べ高くなっていることが分かります。
前述の産業別の平均「327,000円」と比べてみると、介護老人福祉施設の平均賃金は平均以上の「328,120円」、通所リハビリテーションで平均並みの「326,940円」となっています。
夜勤など体力的、精神的に負担があるため、一概には言えませんが、給料だけ見れば決して介護職の賃金は低すぎるということはないのが分かるかと思います。
なぜ賃金を低く感じるのか

前述したとおり、地域やキャリアによって異なりますが、介護職の給料は他業種の平均とほぼ同じレベルまで上がってきています。
それでは、なぜ賃金を低く感じるのでしょうか。
体力的、精神的に負担が大きい
冒頭にも記載したように、体力的な負担は他業種に比べると大きいものでしょう。
特に他業種と夜勤業務をこなさなくてはいけない施設での身体的な負担は大きなものです。
特に大きな施設の就寝介助や起床介助の時間の忙しさは実際にやったことがある人でないと分からないでしょう。
また、認知症の方の対応がある場合、その症状は様々で、突然大きな声を出したり、怒り出したり、一晩中歩き回る方もいるかもしれません。
そのような方に対して、コミュニケーションや生活環境の調整など様々な認知症ケアを試しながら、寄り添ったケアをしていく必要があります。
精神的に負担を感じてしまう方もいるでしょう。
残業時間が少ない
介護業界で働く人の1週間の平均残業時間は右の通りになります。
月にすると5時間~10時間といったところでしょうか。
介護職員 | 1.4時間 |
訪問介護員 | 1.2時間 |
サービス提供責任者 | 2.4時間 |
ケアマネージャー | 1.8時間 |
それと比較して、他の業界はどれくらいの残業時間なのでしょうか。
厚生労働省の毎月勤労統計調査で令和4年度の産業別の月の平均残業時間の記載がありました。
月間平均残業時間 | |||
鉱業・採石業等 | 11.1 | 不動産・物品賃貸業 | 11.2 |
建設業 | 13.8 | 学術研究等 | 13.6 |
製造業 | 14.4 | 飲食サービス業等 | 4.7 |
電気・ガス業 | 14.5 | 生活関連サービス等 | 6.2 |
情報通信業 | 15.7 | 教育・学習支援業 | 9.7 |
運輸業・郵便業 | 22.6 | 医療・福祉 | 5.0 |
卸売業・小売業 | 7.4 | 複合サービス事業 | 7.3 |
金融業・保険業 | 12.0 | 全産業計 | 10.1 |
介護業界は、退職者を減らす対策として残業を減らす施策をしている事業所が多く見られます。
そのため、平均残業は他業種と比べると大幅に少ないことが分かります。
もし「サービス残業をしてるから!」という方がいて、もし事業所の指示なら大きな問題です。
転職を考えてもいいレベルですね。
事業所により処遇改善加算を得ることができない
介護サービスを提供しないサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームでは、特定施設利用者生活介護の指定を受けていないため介護職員という職種で働いていても、介護業界では一般的に支給される『処遇改善手当』の支給がありません。
また、残念なことに令和3年度 介護労働実態調査によると、介護職員処遇改善加算を算定した事業所は全体の74.9%にとどまっています。
様々な理由はあるかもしれませんが、そこで働く職員の事を考えるのなら事業所の怠慢といってもいいのではないでしょうか。
もし、自分の勤める事業所が対象であるにも関わらず、理由なく加算を算出していないようなら転職を考えてもいいと言い切れます。
まとめ
いかがでしょうか、この記事で以下のことが分かりました
- 他業種と比較して介護職の賃金は平均と変わらないレベルまで賃金が上がってきた
- 残業が少ない
- 処遇改善加算が算出できない事業所がある
- 処遇改善加算を算出していない事業所がある
もし、「サービス残業を強いられている」「勤めている事業所が処遇改善加算を算出していない」というのなら、「仕事内容に対して低すぎる」と言えるでしょう。
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