「認知症カフェ」のオンライン開催があるということを聞いたことがありますか?
認知症カフェは、認知症に苦しむ人やその家族が集まり、情報交換や交流をする場です。
近年では、オンラインでの認知症カフェも増えています。
今回は、介護従事者の方々がオンラインでの「認知症カフェ」を運営するメリットとデメリットの紹介、開催のための手順やポイントを紹介します。
認知症カフェとは?

認知症患者は年々増加傾向にあり、2025年には約700万人、5人に1人は認知症になると見込まれています。(平成28年版高齢社会白書参照)
認知症の症状は様々で、家族や介護者の精神的負担が大きなものになることも少なくありません。
「認知症カフェ」とは、認知症の人や家族、支援者たちが、情報交換や交流をする場です。認知症カフェは、地域によって運営形態や内容が異なりますが、多くの場合、次のような特徴を持っています。
- 認知症ケアや介護技術の勉強会、講演
- 参加者同士の交流会
- 認知症に効果的なレクリエーション活動や体操の共有
認知症カフェは、認知症の人が自分自身や病気について話す機会を得ることができるだけでなく、家族や支援者たちも情報を得て、日常生活での支援の仕方などについて学ぶことができます。
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認知症カフェのオンライン開催とは?
認知症カフェのオンライン開催は、インターネットを通じて参加者が集まり、情報交換や交流を行う形式です。
新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、施設では家族との面会はもちろん、移動が制限される中で、認知症カフェの継続開催が危ぶまれていました。
認知症カフェは継続することによってはじめてその効果が得られます。
どのような状況でも継続開催することを可能にしたのがオンラインによる認知症カフェです。
オンライン開催には、ビデオ会議ツールやチャットアプリを使い、参加者同士がリアルタイムでやり取りをすることができます。
コロナウイルスが落ち着いてからも、リアル開催と並行することで、参加者の認知症への理解や家族の安心感をより一層、高めることができるツールと考えられています。
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認知症カフェのオンライン開催のメリット

オンラインで「認知症カフェ」を開催することで、開催者も参加者も様々なメリットがあります。
ここからは、認知症カフェをオンラインで開催するメリットを紹介します。
場所を選ばない
認知症カフェのオンライン開催は、インターネットが繋がれている場所ならば、どこからでも参加することができます。
交通の便が悪い地域や、外出が難しい人にとっては、参加しやすい環境が整っています。
例えば施設に入居されている家族が遠方にお住いの場合、リアルでの開催は仕事などもあるため、なかなか参加に踏み込みづらいものです。
オンラインならどこに住んでいても距離をゼロにすることができます。
時間を選ばない
認知症カフェのオンライン開催は、特定の日時に開催される場合が多いですが、ビデオ会議やチャットアプリを使うため、参加者が互いに都合のいい時間にやり取りすることができます。
そのため、仕事や家事、介護などの時間の制約がある介護従事者でも、空いた時間を利用して参加することができます。
また、認知症カフェを利用する高齢者自身も、自宅で参加できるため、身体的な負担を軽減することができます。
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認知症カフェのオンライン開催のデメリット

オンラインでの「認知症カフェ」の開催は、オンラインならではのデメリットがあります。
準備や周知を綿密にすることで、回避できることも有りますので、しっかりと確認しておきましょう。
パソコンや機器への不慣れや障害による参加の難しさ
認知症カフェのオンライン開催は、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの端末を使って行われます。
そのため、テクノロジーに不慣れな高齢者や年配のご家族にとっては、参加のハードルが高くなる場合があります。
また、身体的な障害や視覚・聴覚に関する問題がある場合も、オンラインでの参加が難しい場合があります。
直接会うことのできない対面の魅力が薄れる
認知症カフェは、地域の施設や公民館などで開催され、対面での交流が行われることが一般的です。
しかし、オンラインでの開催では、直接会うことができないため、対面での魅力が薄れてしまうというデメリットがあります。
特に、高齢者や認知症の方にとっては、直接会って話したり触れ合うことで安心感や信頼感を生むことが多いため、オンラインでの交流が苦手な場合もあるかもしれません。
また、オンラインでのコミュニケーションには、通信環境による遅延、ノイズなどが発生することもあり、参加者同士の意見交換やコミュニケーションが円滑に進まない場合もあるかもしれません。
このようなデメリットは事前に操作や設定方法の周知や、テスト接続などをして可能な限りリスクが回避できるように準備に時間をとることをおすすめします。
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オンラインでの認知症カフェを運営するためのポイント

ここでは、介護従事者の方々がオンラインでの認知症カフェを運営するためのポイントを紹介します。
リアルな認知症カフェと異なるのは、オンライン利用の準備や周知が必要な点になります。
オンラインプラットフォームの選定
オンラインでの認知症カフェを開催する場合、利用するプラットフォームを選定する必要があります。
一般的に利用されるのは、ZoomやSkype、Teamsなどのビデオ通話サービスです。
また、LINEやFacebookなどのSNSを利用することもできます。
どのプラットフォームを利用するかは、参加者の利便性や安全性を考慮して決めましょう。
開催日時の設定
オンラインでの認知症カフェの開催日時は、参加者のスケジュールや利便性を考慮して設定する必要があります。
また、オンラインでの開催なら、地理的な制約がないため、参加者の居住地域や時間帯を考慮せず、自由に設定することもできます。
参加者の募集
オンラインでの認知症カフェを開催するためには、参加者を募集する必要があります。
介護施設のホームページや地域包括支援センターのホームページなどを活用して、参加者を募集しましょう。
施設の利用者のご家族には事前に月報などで通知すると効率的です。
また、現代は新聞をとる家庭が減っていることで、逆にポスティングのチラシへの反応が良くなっている傾向があります。
施設の周辺などのポスティングなども合わせてすると効果的かもしれません。
内容の企画
認知症カフェは、情報交換や交流の場であるため、セッション内容を企画する必要があります。
介護に関する情報提供や、認知症に対する理解を深めるための講座、趣味やスポーツなどの娯楽活動など、多様な企画を考えてみましょう。
主な項目は以下の通りです
- レクリエーションや体操など認知症ケア活動の共有
- 参加者同士の交流会
- グループディスカッション
- 認知症についての勉強会や講演
オンラインになると、一緒に体操やレクリエーションを体験するのは難しいと感じるかもしれませんが、写真や動画を見て回想法の方法を共有するなど、色々なアイディアで実施は可能です。
参加者の意見も取り入れながら、幅広いニーズに対応できるプログラムを作成することが大切です。
オンライン上のルールの確認
オンラインでの認知症カフェでは、参加者のプライバシーや安全性を守るため、ルールを設定する必要があります。
例えば、カメラをオンにするか否か、マイクのオン・オフなど、参加者が安心して参加できるように注意点を説明することが大切です。
また、ZoomやTeamsなどのビデオ通話サービスを利用する場合は、プライバシーポリシーにも注意し、周知しておきましょう。
接続サポートの準備
オンラインでの認知症カフェを開催する場合、参加者がトラブルに遭遇する可能性があります。
そのため、サポート体制を整えておくことが大切です。
事前にオンラインでの接続テストを行い、トラブル対応のための連絡先を用意しましょう。
フィードバック
認知症カフェが終了したら、参加者に感想や意見を聞きます。
主催者は、参加者からのフィードバックを受け取り、今後の認知症カフェの改善に役立てます。
反省会を実施することで、主催者が認知症カフェの運営方法を改善することができます。
まとめ
参加者が安心して参加できるように配慮し、定期的な開催により、参加者同士の交流が深まるように努めましょう。
認知症カフェのオンライン開催には、時間や場所に制限されない柔軟性や遠くにいる人との交流ができ、高齢者や介護者が自宅から参加できるため、身体的な負担を軽減することができるため、需要が高まっています。
一方で、パソコンやスマートフォンなどの機器に不慣れな人や身体的な障害がある人にとっては、参加のハードルが高くなることや、直接会うことができないため対面での魅力が薄れることがデメリットとして考えられます。
介護従事者にとっては、オンラインでの認知症カフェの開催は、場所の確保や人員の調整などの負担が少なく、自己研鑽の機会の増加に繋がることが期待されます。
ただし、デメリットの点を踏まえ、介護現場でオンラインでの認知症カフェを導入する場合は、受講者のニーズに合わせたサポートや環境整備が必要であることを念頭に置く必要があります。

この記事は専門家が監修しています
介護福祉士/終活アドバイザー
青葉 時生
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