せっかく入社をしたのに、「自分は介護に向かないな」なんて思っている方がいるのではないでしょうか。
一般的に介護職は離職が多いというイメージがあるようです。
これから介護職を始める人は離職が多いと聞くと迷ってしまいますよね。
反面、介護業界を天職とし、長く勤める人もいますし、レベルアップ、キャリアアップを目指すことも可能です。
結論から言うと、介護職の離職は他の業種と変わりありません。
でも、せっかく入社や転職をしたのにやっぱり、、なんてことがないように自分の価値観や介護へのイメージと介護職の魅力・やりがいに食い違いがないか確認しておく必要があります。
介護職の転職率は本当に多いのか
介護職の離職、転職が多いというのは、実際はどうなのでしょうか。
実際の調査結果をもとに見てみましょう。
以下は、介護労働安定センターと厚生労働省が出しているここ15年の介護職と全産業の離職率の動向調査のデータになります。

厚生労働省 令和3年雇用動向調査結果
確かに15年前は全産業と比べる離職率の差が大きく、辞める人が多いという印象は拭えません。
ただ、ここ10年に関しては大きな差はなく、ここ2~3年でいうと、ほぼ変わらないと言っていいでしょう。
これは、早期の退職を抑えるために待遇も含め企業が努力してきた結果といえます。
多くの企業が一般の産業の平均値ともいえる離職率15%を切ることを目標に、給料面、福利厚生、施設や企業の体質改善をしてきました。
介護職は他業種に比べ離職率が高いというのは、もはやイメージであって、一般業種と変わらないと言っていいでしょう。
介護職の魅力とやりがい5選

冒頭でも記述しましたが、ほとんどの人が転職しても介護職を続けるケースが多いのが救いです。
辞める理由は別途あるにしても、介護職に魅力があるということです。
介護職の魅力、やりがいは何なのか、これから介護の仕事を始める人はもちろん、転職を考えている人も知っておきたいことではないのでしょうか。
経験年数などもありますが、何百人との介護職と接している中で感じたこと、話を聞いたことから以下のことが共通している点です。
- コミュニケーション
- 人に感謝される、役に立っている
- 学ぶことが多く、自身の生活にも役立つことが多い
- 求人の多さ
- 生活と仕事のバランスを保ちやすい
コミュニケーション
入職してすぐに感じることは、このことではないでしょうか。
利用者とのコミュニケーションはその人が何を大切にしているのか、何をしたいのか、その人らしい生活をすることを実現していくことからも大切なことです。
特に介護の仕事を始めたばかりの人は名前を憶えてくれると嬉しいという人が多いですね。
人に感謝される、役に立っている
介護職は完全にビジネスと割り切らずに、多少はボランティアの感覚がないと続けられない仕事かもしれません。
入居者が「喜んでくれるにはどうしたらいいのか」「毎日楽しく過ごすにはどうしたらいいのか」「その人の希望を実現できないか」を常に考え、少しでもその方らしさが実現でき、笑顔や感謝の言葉をかけられることに喜びを感じるのです。
学ぶことが多く、自身の生活にも役立つことが多い
高齢者と接することで学ぶこともありますが、介護をすることによる知識、技術が将来的に自分の家族など生活の中で役立つと言えます。
介護の仕事をするなかで、高齢者の変化を目にすることでの気づき、疾患の症状、処置方法などの医療的知識、認知症の方との接し方、安全で安心できる介護、など知識や技術を私生活でも生かすことができます。
職場で得たスキルをそのまま私生活で活かせる仕事は、他の業種では見当たりません。
そういった意味でも将来性のある仕事と言っていいでしょう。
求人の多さ
介護職の求人数は景気に左右されないことが利点です。
むしろ他の業種に比べると増えていく一方になっています。
背景には超高齢者社会の中、2025年には団塊の世代が75歳の後期高齢者となり、更に需要が増えることが予想されることも関連しています。
将来性のある業種ということで、多くのハローワークでも介護の資格取得、転職を勧めるためのカタログを用意するようになっています。
年齢制限がほとんど無いことも特徴的です。
他の業種だと転職が難しくなってきている年代でも介護職は大歓迎です。
そのこともあり、他産業からの人材流入が最も多い業種になっています。
(介護労働安定センター 令和3年度 介護労働実態調査結果 参照)
生活と仕事のバランスを保ちやすい
介護は、重労働で休みも少ないという印象があるかもしれません。
確かに介護職は人手不足もあり、有給の年間での取得日数は全業種の平均10.1日に比べ、7.3日と少ないですが、休日出勤も少なくしっかりと休みがとれている事業所がほとんどです。
その分、オフの時は自分や家族との時間を楽しむなど、気持ちの切り替えができている印象です。
これは他業種に比べ、ノルマや締め切りなどのプレッシャーが少なく、休みの日に仕事のことを考えてしまうというケースが少ないということもあります。
身体介護や夜勤で身体が疲れることはありますが、プライベートの時間を大切にでき、想像よりも辛い仕事ではないと言えるでしょう。
働き続けたい介護職員が増加しているのが現状
これだけのメリットを体験すると、介護職を続ける人が多くなるのは当然のことでしょう。
プライベートを充実させることができ、やりがいのある魅力ある仕事ということなのです。
以下は、介護職の勤労意欲の推移グラフになります。
5年連続して介護職で働き続けたいとする労働者の割合が前年を上回っています。

自分の仕事への価値観、介護へのイメージがここに出てきた魅力、やりがいと大きなズレがないかを確認できたでしょう。
せっかく入社をしたのに、「自分は介護に向かないな」なんてことがないようにするための必要な確認です。
もちろん、ここで出てきた魅力、やりがいに加え、「魅力のある施設」や「魅力ある職場」に巡り合えることも重要です。
間違いのない就職先を見つけるためには更に、介護職について、企業についての研究は欠かせないのです。
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