介護の資格を調べてみると、予想以上の種類の多さに戸惑ってしまう方もいるでしょう。
「どの資格から取れば良いの?」
「どれが今の自分にぴったりなの?」
そういった疑問を持つ方に、必要性やメリット別で介護の資格を一覧にしてまとめました。
■主要資格 | |
介護初任者研修 | 介護職の入門的な位置づけの介護資格 |
介護福祉士実務者研修 | 介護職員初任者研修の上位資格 |
介護福祉士 | 介護資格のなかで唯一の国家資格 |
■介護福祉士のステップアップ | |
喀痰吸引等研修 | 厚生労働省が認定する医療的ケアの研修 |
認定介護福祉士 | 介護福祉士の上位資格 |
介護支援専門員(ケアマネ) | ケアプランの作成や関連機関との連絡調整 |
■認知症のスペシャリスト | |
認知症介護基礎研修 | 認知症ケアの業務の最低限のスキルの習得 |
認知症介護実践者研修 | 認知症ケアの業務の実践的なスキルの習得 |
認知症介護実践リーダー研修 | 認知症支援におけるチームケア、育成のスペシャリスト |
認知症ケア専門士 | 認知症ケアのスキルアップ |
■スキルアップ | |
福祉用具専門相談員 | 福祉用具のスペシャリスト |
福祉住環境コーディネーター | 住みやすい住環境を提案するアドバイザー |
終末期ケア専門士 | 終末期を過ごす人やその家族をサポート |
介護事務 | 介護報酬請求業務のスペシャリスト |
介護予防運動指導員 | 高齢者の体力の維持・向上を目指した運動プログラムの企画立案や指導方法を習得 |
介護リハビリセラピスト | 介護アロマを使った技術を習得 |
レクリエーション介護士 | 介護レクリエーションのスペシャリスト |
心理カウンセラー | さまざまな悩みをもつ相談者の話を聞き、寄り添うように対話し、相談者が解決していけるよう導くスペシャリストです。 |
理学療法士 | 基本的動作能力の回復・向上に係わるリハビリテーションの専門家 |
作業療法士 | 生活機能の維持・向上に係わるリハビリテーションの専門家 |
言語聴覚士 | コミュニケーション、摂食、嚥下の専門家 |
以下で詳細を説明いたします。
主要資格

介護の仕事をするうえで、まずは取得しておくべき資格です。
初任者研修→実務者研修→介護福祉士の順にステップアップしていきます。
介護初任者研修
介護職員初任者研修(初任者研修)は、介護職の入門的な資格です。
研修課程を修了することで、介護の基礎的な知識や技術を身に付けていることを証明され、有資格者の監督なしで利用者さんの身体に直接触れる身体介護が行えるようになります。
介護の仕事は資格なしでも始められますが、給料面、信用面も考えると、まずは取得しておきたい資格です。
▼関連記事 【資格】介護の仕事を始める時に介護職初任者研修をとるメリット3選
介護福祉士実務者研修
「介護福祉士」を取得する為の登竜門に位置するのが、介護福祉士実務者研修です。
介護福祉士を目指すなら必ず取得しなければなりません。
介護の知識と医療的ケアの知識と実技を習得することができます。
▼関連記事 【資格】介護福祉士実務者研修の取得するメリット5選と期間・費用
介護福祉士
介護福祉士は介護の知識や技能を習得していることを証明する唯一の国家資格です。
実際の介護だけでなく、家族から相談を受け、介護方法などのアドバイスも行います。
また、現場でもリーダーなど指導する役割を求められています。
確実に給与アップ、スキルアップをすることができ、キャリアアップのためにも取得したい資格です。
▼関連記事 【資格】介護福祉士の取得するメリット3選と期間・費用
介護福祉士のステップアップ

介護職の仕事を続けるうえで、介護福祉士が最高位ではありますが、更にステップアップや専門性を高めるための資格は沢山あります。
ここでは、介護福祉士から取得可能な資格を紹介します。
喀痰吸引等研修
たんの吸引と経管栄養を行える介護職員等を養成するための研修です。
自力で痰を出す事ができず、痰吸引が必要な方や、口から食事ができず経管栄養により栄養をとる必要がある方を支える介護現場において需要が高い処置を実施することができます。
より高度なケアを行える介護職員を目指したい方は受講を検討したい資格です。
2015年度以降に介護福祉士の資格を取得した人は、実地研修を受講することで喀痰吸引が行えますが、それより以前に介護福祉士を取得した人は実地研修と基本研修の受講が必須になります。
認定介護福祉士
認定介護福祉士は「一般社団法人 認定介護福祉士認証・認定機構」が2015年12月から認定を開始した民間資格になります。
厚生労働省が中心になり、介護福祉士の取得後のステップアップの仕組みが検討され、レベルの高い介護福祉士を認定する仕組みが創設されました。
創設して間もないということもあり、介護福祉士の上位資格としての認知度も、これからという感じです。
しかし、質の高い介護士の育成が急務な現状と厚生労働省の後押しもあるため、近い将来には需要は急拡大し、それに伴って手当などのメリットが出てくることも十分考えられます。
▼関連記事 【資格】介護の最上位資格「認定介護福祉士」とは?
介護支援専門員(ケアマネ)
ケアマネージャーは介護を受ける人が介護保険サービスを受けられるように、ケアプラン(サービス計画書)の作成やサービス事業者との調整を行う、介護保険に関するスペシャリストです。
利用者や家族が喜んだり、感謝されることで大変やりがいのある仕事です。
難易度は高いですが、ケアマネージャーの募集は非常に多く、給料アップも期待できることから介護の仕事をしている方の中では非常に人気の資格になります。
▼関連記事 【資格】介護支援専門員(ケアマネージャー)取得のメリット3選と取得方法
認知症のスペシャリスト

超高齢社会を迎えて、認知症の患者も増加傾向にあり、今後はさらにこの流れが進むことでしょう。
認知症ケアに特化した介護資格を持っていると、転職やスキルアップに非常に役立つことが予測されます。
認知症介護基礎研修
認知症ケアの業務に従事するうえで基本的な知識と技術を身につけることができる研修です。
都道府県ごとに実施され、る認知症介護実践者研修や認知症介護実践リーダー研修など、いくつかの種類ある中の、入門的な資格です。
2025年には高齢者の5人に1人が認知症患者になるという推計もあり、2021年4月から無資格の介護職に認知症介護基礎研修の受講が義務化されました。
受講するための資格要件は認知症ケアに携わる介護従事者となります。
認知症の基礎知識を広く普及させるという目的もあり、ハードルの低いものとなっています。
認知症介護実践者研修
認知症介護実践者研修は、認知症の方やご家族が安心して日常生活を送れるよう、認知症ケアについての知識や技術を身につけることができる資格です。
認知症ケアの基本を学ぶ「認知症介護基礎研修」の上位資格に位置づけられています。
認知症介護実践者研修は基本的に勤務先の事業所の所属する自治体での受講となり、受講要件は自治体によって違うこともあります。
認知症介護実践者研修を取得することで、認知症ケアのプロとしてユニットなどのリーダーとしてキャリアアップでき、資格手当が支給されたり、転職にも有利になる可能性もあります。
▼関連記事 認知症介護実践者研修とは?取得の仕方とメリット
認知症介護実践リーダー研修
認知症介護実践リーダー研修は、介護施設や事業所においてチームで効果的な認知症介護の実践リーダーとしてスタッフを指導し、認知症介護の質の向上の推進役となる指導者を養成する研修です。
「認知症介護実践者研修」を修了した人が受講対象となっていて、研修を修了することで認知症ケアのチームリーダーなどへステップアップができる資格です。
各都道府県の指定や委託を受けた事業所が実施しているため、受講申込の時期や研修スケジュールは地域によって異なってきます。
研修の全課程を修了するには3ヶ月程度かかります。
認知症ケア専門士
認知症ケア専門士とは認知症ケアに対する優れた学識と高度の技能、および倫理観を備えた専門技術士を養成し, 日本における認知症ケア技術の向上ならびに保健・福祉に貢献することを目的とした資格です。
試験は2次試験まであり、合格率は例年50%前後で、難易度としてはやや高めです。
また、取得したあとも5年ごとの更新が必要なため、さまざまなセミナーや学会に参加して必要な単位を取得しなければなりません。
ハードルは高めですが、認知症介護の現場はもちろん、認知症の治療を行っている医療機関などでも活躍が期待されます。
受験する年の3月31日から逆算して10年以内に、3年以上の実務経験があることが受験条件となります。
スキルアップ

取得することでスキルアップするものや、新たな職種への挑戦ができ、介護業界での働き方に幅がでるような資格をピックアップしています。
下に記載したものは、ほんの一部です。
介護の資格はまだまだ沢山あるので随時更新していきます。
福祉用具専門相談員
福祉用具専門相談員は、介護保険の指定を受けた福祉用具貸与・販売事業所に2名以上の配置が義務付けられている専門職です。
他の介護保険サービスの専門職と連携しながら、選定相談、計画作成、モニタリングを実施し、高齢者の自立した生活を、福祉用具でサポートします。
取得には都道府県知事の指定を受けた研修事業者が実施する「福祉用具専門相談員指定講習」を受講し、50時間のカリキュラムを修了する必要があります。
講習の最後に、習熟度を測るための修了評価(筆記の方法による)がおこなわれます。
なお、福祉用具に関する知識を有している国家資格保持者(保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、義肢装具士)は、介護保険の指定福祉用具貸与・販売事業所における福祉用具専門相談員の業務にあたることができます。
▼リンク 福祉用具専門相談員についてもっと詳しく
福祉住環境コーディネーター
福祉住環境コーディネーターとは、高齢者や障がい者に対して住みやすい住環境を提案するアドバイザーです。
医療・福祉・建築について体系的で幅広い知識を身につけ、各種の専門職と連携をとりながらクライアントに適切な住宅改修プランを提示します。また福祉用具や諸施策情報などについてもアドバイスします。
介護の仕事だけではなく、住宅の新築やリフォームの会社でも重宝される資格です。
福祉住環境コーディネーター検定試験には受験資格が設けられておらず、実務経験も不要です。
試験はインターネットで受けることもできます。
▼リンク 福祉住環境コーディネーターについてもっと詳しく
▼関連記事 福祉住環境コーディネーター資格の価値は?口コミでわかるメリット・デメリット
終末期ケア専門士
終末期ケア専門士は臨床ケアにおけるスペシャリストです。
患者・利用者様の一番近くで「支える人」として、エビデンスに基づいたケアの実践をおこなえることを目指す資格です。
さらに上位の上専門士、アドバンスインストラクターとステップアップすることができ、組織での教育やマネジメント、地域を通して社会での活躍ができるようになります。
受験資格は介護福祉士などの国家資格を取得後、2年の実務経験が必要です。
介護事務
介護事務は、施設などの介護事業所の受付や介護保険請求をはじめとする、介護サービスに関する事務業務を行います。
介護事業の運営に欠かせない仕事です。
これから先も安定して働き続けることができる仕事であると言えるでしょう。
受験資格は特に設定されてなく、講座を受けると修了となります。
開催する、スクールによって「介護事務講座」「介護保険請求事務講座」などの呼び方になります。
▼リンク 介護事務についてもっと詳しく
介護予防運動指導員
介護予防運動指導員は、介護を必要とする要介護状態の発生を出来る限り防ぐいだり、要介護状態の人の悪化を防ぐ・軽減するために「介護予防プログラム」を作成し、運動指導を行う人です。
資格を取得することで、施設の利用者に対し、適切なトレーニングプログラムを立案・指導できるようになります。
通学、通信の両方の受講方法があります。
受験資格は社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員、初任者研修修了者で実務経験2年以上の人などの資格を有した人が対象となります。
▼リンク 介護予防運動指導員についてもっと詳しく
介護リハビリセラピスト
介護リハビリセラピーとは、アロマテラピーとマッサージが融合した施術方法で、介護が必要な高齢者の手足のむくみや関節痛などの体の痛み、肩こり、認知症予防などに対し、ビタミンEとアロマテラピーで使用するアロマ精油をブレンドしたオイルで、血液やリンパ液を流し、関節や筋肉の機能を回復させる施術方法です。
すでに整骨院、治療院、アロマサロンでは20年以上前から行われており、介護施設でも介護リハビリセラピストの資格を取得したセラピストが活躍しています。
通信講座などで学習後、認定試験に合格することで資格を取得することができます。
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▼リンク 介護リハビリセラピスト通信講座についてもっと詳しく
レクリエーション介護士
レクリエーション介護士は、高齢者に喜ばれるレクリエーションを提供できる人材を育成する資格で、2級と1級に分かれています。
レクリエーション介護士は、レクリエーションの基本的な知識・スキルを習得し、目的に合わせた介護レクリエーションの企画やレクリエーションの意義を人に伝えられる人材を育成します。
2級と1級に分かれていて2級は通信講座でも取得可能です。
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心理カウンセラー
心理カウンセラーとは、心に悩みを抱える人にカウンセリングを行い、その悩みが解決できるように導くメンタルケアの専門家です。相談者の話に耳を傾けながら質問したり要約することで、相談者自身が問題を整理し解決できるようサポートします。
施設での生活相談、カウンセラーとして活躍することができます。
試験ではカウンセリングの理念や実践、心理学、心理療法、精神医学、心身医学、メンタルヘルスについて問われます。未経験からでも心理カウンセラーとして活躍できるスキルが身に付きます。
養成講座を修了するか、大学の心理学部またはそれに隣接する学部を卒業している人が試験を受験できる資格です。
民間資格の場合、スクールによって「メンタルケア心理士」「メンタル心理カウンセラー」のように名前が変わってきます。
▼リンク 心理カウンセラーについてもっと詳しく
まとめ
介護の仕事は無資格でも始められますが、取得することで給料やできる仕事の幅が広がるなどメリットがたくさんあります。
介護業界でキャリアアップしていきたい、介護の仕事をもっと幅広くできるようになりたいと考えている方にとって、沢山ある資格は自分の方向性を定めるうえでも頼りになるものです。
資格によっては資格取得をサポートしてくれる「パソナライフケア」「かいご畑」といった就職支援の会社もあります。
自分のなりたい姿に向けて、ぜひ資格を活用してください。
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