高齢者施設でのレクリエーションは必要?効果と意義【役立ち】

介護の役立ち情報

高齢者施設で働いていると、様々なレクリエーションを実施する機会が多いものです。

レクリエーションって意味あるの?
本当に楽しんでるのかな?


そんな風に思う方もいらっしゃるかと思います。
レクリエーションは高齢者にとって、コミュニケーション機能、身体機能、脳機能など様々な機能を維持、向上するための大切な時間です。

意外とレクリエーションは業務の中で体力的にも精神的にも負担があり、好きな人と嫌いな人が分かれるものです。

正直なところ、私もレクリエーションが苦手でした。
介護の仕事を始めた時に、レクリエーションの意義や効果について教わる機会があれば、もう少し頑張って業務を行うことができたと思っています。

レクリエーションの効果や意義を知ることで、少しでも心の負担を減らせればと思い記事にまとめてみました。

レクリエーションの効果と目的

レクリエーションには様々な種類がありますが、主な効果は以下のようになります。
このレクリエーションはこの効果という風に決まっているわけではなく、その人が置かれている状況、周りのスタッフや利用者との関わり方で効果は多様です。

身体機能の維持・向上

高齢者が可能な限り自立した生活を続けるためには身体機能の維持は不可欠です。
しかし、一人での運動を継続するのは難しいものですよね。

そこでレクリエーションを利用して「楽しく」「無理なく」身体を動かす機会を設ける必要があります。

「レクリエーションくらいの運動で身体機能の維持に繋がるの?」

と思う方もいるかもしれませんが、筋肉をムキムキにしたいわけではありません。
臥床したままでいると1日で約1〜3%、週で約10〜15%の割合で筋力低下が起こると言われています。
参加して座位でいるだけでも、筋肉量を維持するきっかけになるのです。

身体機能向上のレク
  • 集団体操
  • 風船バレー
  • ボーリング
  • グランドゴルフ

このようなレクリエーションは身体機能の維持に繋がります。

脳機能の維持・向上

60歳を過ぎると認知機能が少しずつ衰えるといわれています。

認知機能とは、理解力や判断力、記憶力や言語を理解する能力など、日常生活を送るうえで重要な能力です。

脳の機能自体を活性化させるには、脳内の血流を促進する必要があります。

脳機能向上のレク
  • 脳トレ・塗り絵
  • パズル・クイズ
  • 他者(普段交流の無い人)との交流
  • 手芸、創作活動
  • 料理
  • 将棋、麻雀などのゲーム

脳トレなど頭だけ使うのではなく、手は「第二の脳」といわれ、 指先を動かすことで脳の血流量が上がり、認知症の進行を和らげる効果があるとされています。
また、他者との交流は脳を刺激し、脳を活性化させる効果もあります。

疎外感の解消

高齢者は介護が必要になり、身体機能の衰えなどから、部屋にこもりがちになってしまうものです。
「介護が必要になった私には誰もかばってくれない」「介護を受けている身で外に出たいなんて言えない」といった羞恥心や遠慮から独りで部屋にいることが多くなり、他者との交流がなってしまいます。
そのままでいれば次第に疎外感を感じ、落ち込んだり塞ぎ込んでしまい鬱傾向に陥りがちです。

疎外感解消のレク
  • 地域交流
    地域の方との交流をすることで地域への愛着が湧き、疎外感が解消されるとともに「また交流したい」という生活意欲が向上することが期待されます。
  • 社会参加
    社会に参加で地域に新しい出会い、顔なじみができることで充実感と共に疎外感が解消される効果が期待されます。
  • 集団でのレクリエーション
    利用者同士で感想を話し合ったり、レクリエーションにまつわる思い出話をすることで、連帯感を生むことができます。

このようなレクリエーションをすることで疎外感から解放され、自分らしく生活をすることに繋がります。

自信を取り戻す

高齢者は介護が必要となる事で少なからず「申し訳ない」「情けない」といった気持ちがあり、自信を喪失してしまうことも少なくありません。

若いころの自分を思い出したり、貢献感、役割を与えることで自信を取り戻すことができます。

自信を取り戻すレク
  • 社会参加(外出、買い物など)
    「選ぶ」「買う」「支払う」などの社会参加は社会への貢献感を得ることで心が充実し、自分に自信を取り戻すきっかけとなります。
  • 子供たちとの交流
    子供と接することで、昔話や遊び相手をすることで地域での役割を感じることができます。
  • 趣味活動(料理、園芸、麻雀など昔得意だったこと)
    昔、得意だったこと、仕事としていたことをすることで、昔の自分を思い出し、自信を取り戻すことができます。
    また、先生役などすれば生活の中に役割を感じ、生活意欲の向上にもつながります。
  • 回想法
    上記の通り、昔の自分を思い出すことで自信を取り戻すきっかけとなります。

生活意欲を向上させる

高齢者は部屋にこもりがちになり、交流がなくなることで整容や着るものなどに気を遣わなくなり、余計に生活意欲が低下することがあります。
「やってみたい」「また楽しみたい」という生活での目標や生きがいを与えることで生活意欲を向上することができます。

そのため、レクリエーション全般が生活意欲を向上させると言っていいでしょう。

なにが楽しいと思うのか、何をすれば参加してくれるのかをよく練って実施したいですね。

コミュニケーション

他者との交流は脳機能、生活意欲、疎外感など様々な機能や症状に効果的です。

「楽しかった」「レクリエーションの時間が終わったからオヤツの準備だ」で済ませるのでは、効果は半減です。

レクリエーションの中や終わった後で、スタッフや利用者同士で感想を話したり、思い出した昔の話をするなどの交流をすれば、様々な機能や心理に効果が増すということが言えます。

まとめ

レクリエーションは高齢者にとって様々な効果をもたらします。

忙しい中、皆さんが頑張って用意しているレクリエーションのすべてに理由があるのです。

レクリエーションに正解はありません。
スタッフ、利用者ともに「子供っぽくて嫌だ」と思わずにはいられない方も多いでしょう。

全ての高齢者に喜んでもらえる画期的なレクリエーションがあればいいのですが。

まずは、高齢者一人ひとりの事を良く知り、最適なレクリエーションは何かを皆で考えてみることから始めたらいいのではないでしょうか。

とあるデイサービスではパチンコやスロットを導入しているところもあるようです。

レクリエーションに正解はありません。

この記事は専門家が監修しています
介護福祉士/終活アドバイザー
青葉 時生

コメント

タイトルとURLをコピーしました