「介護医療院ってあんまり聞かないけど、どんな施設?」
介護医療院と聞いても、あまり聞き慣れない方も多いかもしれません。
介護医療院とは、2023年度に廃止することが決定した「介護療養型医療施設」の主な転換先として登場した施設種別です。
医師の配置が義務付けられていて、たん吸引などの医療設備も充実していることから、医療ニーズが高い方から看取りやターミナルケアの対応も可能です。
この記事では介護業界で転職や就職を考えている人のために「介護医療院」の詳細と、働き方を徹底解説していきます。
介護医療院とは

平成30年(2018年)4月からまで「介護老人福祉施設」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」の3施設だった介護保険施設に「介護医療院」が追加されました。
介護療養型医療施設が2023年度に廃止することが決定し、主な転換先となるのが「介護医療院」です。
医療が必要としている高齢者は、急変するリスクも抱えており、そうしたニーズに完全に対応可能な介護保険サービスが存在しませんでした。
そうした高齢者の増加が想定されているため、新たな選択肢として以下の2点を具体的に提供する施設となります。
- 経管栄養や喀痰吸引等の日常生活上に必要な医療処置や充実した看取りを実施する体制
- 利用者の生活様式に配慮し、長期療養生活をおくるのにふさわしい、プライバシーの尊重、家族や地域住民との交流が可能となる環境が整えられた施設
長期的な医療と介護が必要な要介護高齢者を対象として「日常的な医学管理」や「看取りやターミナルケア」等の医療機能と「生活施設」としての機能を兼ね揃えた施設です。
生活拠点としての場でありながら、「日常的な医学管理」や「看取りやターミナルケア」等の医療機能と「生活施設」としての機能を兼ね揃えた施設です。
「利用者の尊厳の保持」と「自立支援」を理念に掲げ、「地域に貢献し地域に開かれた交流施設」としての役割を担うことが期待されます。
更に介護医療院はⅠ型とⅡ型に分かれています。それぞれの違いは以下のようになります。
Ⅰ型 | Ⅱ型 | |
---|---|---|
入居対象者 | ・「要介護1~5」の認定を受けている方 ・医学的管理を常時必要とする方 ・重篤な身体疾患を有する方 ・身体合併症を有する認知症高齢者 | ・「要介護1~5」の認定を受けている方 ・心身状態が比較的安定している方 ・Ⅰ型と比べて容体は比較的安定した方 |
設置基準 | 介護療養型病院相当 | 老健施設相当以上 |
面積 | 8.0㎡/床 | 8.0㎡/床 |
医師 | 48対1(施設で3以上) | 100対1(施設で1以上) |
看護職員 | 6対1 | 6対1 |
介護職員 | 5対1 | 6対1 |
介護支援専門員 | 100対1(施設で1以上) | 100対1(施設で1以上) |
薬剤師 | 150対1 | 300対1 |
リハビリ専門職 | 適当数 | 適当数 |
Ⅰ型の方がⅡ型に比べて重い疾患を持っている方向けの施設になっています。
入居要件は要介護者になります。
要介護認定は65歳以上の高齢者を対象としていますが、脳血管疾患などの特定疾病を抱えている場合は40歳以上から要介護認定を受けることができます。
医療機関と施設の併設型もあり、この場合は人員配置等に特例が設けられています。
介護医療院の仕事内容

介護医療院の仕事は、通常の施設同様、食事介助や入浴介助、排泄介助などの身体介助のほか、レクリエーションルームの設置も義務付けられていることからレクリエーションも行うことになります。
介護医療院の特性上や看護師、医師、リハビリスタッフとの連携も欠かせません。
個々では介護スタッフの仕事内容に加え、連携が必須の医療スタッフの仕事内容も紹介していきます。
介護サービス
介護医療院は医療の要素が強い印象ですが、一般的な介護施設と同等の介護サービスを提供します。
- 食事介助
- 排泄介助
- 入浴介助
- レクリエーション
- 機能訓練
介護職員は身体介護だけでなく、レクリエーションや機能訓練を行うことで、利用者の生活の質を向上させる役割も担います。
生活援助
入居者が安心して暮らせる家となるよう、生活援助、プライバシーの確保、交流をする場の提供を行います。
- 掃除
- 洗濯
- 家族や地域住民との交流機会の手配
医療ケア
介護職員は医療ケアをすることはありませんが、必要に応じてサポートすることになります。
ここでは一例を紹介します。
- 喀痰吸引
- 経管栄養
- 点滴
- 在宅酸素
- インスリン注射
給料はどれくらい?
介護医療院は介護保険施設の中では平均的な給料になっています。
介護職員の平均給与額の状況(月給・常勤の者、サービス種類別) | |||
令和3年9月 | 令和2年9月 | 差 (令和3年-令和2年) | |
介護老人福祉施設 | 328,120円 | 306,400円 | 21,720円 |
介護老人保健施設 | 323,770円 | 301,650円 | 22,120円 |
介護医療院 | 290,140円 | 280,420円 | 9,720円 |
訪問介護 | 286,920円 | 272,500円 | 14,420円 |
通所介護 | 275,670円 | 264,730円 | 10,940円 |
通所リハビリテーション | 326,940円 | 318,560円 | 8,380円 |
特定施設入居者生活介護 | 313,160円 | 299,590円 | 13,570円 |
小規模多機能型居宅介護 | 267,470円 | 255,860円 | 11,610円 |
認知症対応型共同生活介護 | 287,670円 | 277,660円 | 10,010円 |
全 体 | 293,800円 | 280,390円 | 13,410円 |
介護医療院で働くメリット

ここでは、介護医療院で働くメリットを紹介します。
- 高度な介護スキルが習得できる
- 医療・看護・リハとの連携から専門的知識を習得できる
- 医師や看護師がいるため、急変時も安心
1つずつ見ていきましょう。
高度な介護スキルが習得できる
介護医療院は要介護の方が療養をしながら生活をする場です。
時には看取り介護、ターミナルケアも行うことになります。
必然的に介護技術を習得する場面が多くなり、介護士として技術力アップすることが期待できます。
専門的知識を習得できる
介護医療院は医療ニーズが高いため、高度な医療スキルを習得しやすく、効率的なスキルアップも期待できます。
医療・看護・リハビリの専門家が駐在し、専門的な技術や知識を習得できるチャンスが多く巡ってきます。
急変時も安心
一般的な老人ホームの場合、いても看護師だけのため、医療的判断を得るために医療機関や家族などと連携をとりながら判断を仰ぐ必要があります。
介護医療院は医師と看護師の配置が義務付けられているため、利用者の急変時にはスムーズな連携が約束されています。
介護医療院で働くデメリット

介護医療院で働いていて辛いことは以下のようなことがあげられます。
- 看取りやターミナルケアがあり精神的にきつい
- 介護度が高く、体力的にきつい
精神的にきつい
介護医療院は看取り介護やターミナルケアに対応する必要があります。
利用者様が変化していく様子やつらそうな家族と接する機会もあり、人によっては精神的にきつく感じることがあるようです。
体力的にきつい
介護医療院は要介護の方で、医療的ケアが必要な方や寝たきりの方の対応が多くなります。
身体介護の頻度が多く、夜勤もあるため、人によっては体力的にきついと感じるようです。
介護医療院が向いている人・向いていない人
介護医療院で働くと、介護と医療両方の知識を兼ね備えることができ、転職などの際には非常に貴重な存在と言えるでしょう。
それでは、介護医療院で技術や知識を習得するためにも長く働くためには、どんな人が向いていて、どんな人が向かないのでしょうか。
向いている人 | 向いていない人 |
・介護や医療のスキルを習得したい人 ・利用者に最期まで寄り添いたい人 ・体力に自信のある人 | ・コミュニケーション能力に自信がない人 ・体力に自信のない人 |
介護技術や知識を習得するためには、適している環境ですが、それも他職種との連携が円滑に行うことができてこそです。
コミュニケーション能力や調整能力がないと負担に感じてしまうこともあるようです。
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