介護度という言葉は分かるけど、どういう手順で誰が決めるのかご存じですか?
施設で働いているとなんとなく、この方は介護度これくらいかな?っと想像はつきますがどのような基準で介護度は決まるのでしょうか。
ここでは、介護度の基準について分かりやすく説明します。
介護度ってなに?
介護度とは、高齢者等が介護を必要とする度合いを指標化したものです。
要介護認定、要支援認定で判定される介護の必要性の程度等を表します。
区分に応じて、受けられる介護サービスや範囲が異なります。
介護度を判定され、介護サービスを利用できるのは65歳以上の要介護者と40~64歳で老化に伴う特定疾病によって要介護になった人です。
前者を第一認定者、後者を第二認定者と呼びます。
要介護認定の区分 | ||
区分 | 年齢 | 条件 |
第1号被保険者 | 65歳以上 | 要介護・要支援状態になった場合 |
第2号被保険者 | 40歳~64歳 | 「特定疾病」と診断された場合 |
介護度の区分
介護度とは、高齢者等が介護を必要とする度合いを指標化したものです。認定調査で心身の状態を確認し「要支援1・2」または「要介護1~5」の7区分のいずれかに判定されます。
介護保険制度によって定められた全国一律の基準で、日本国内のどこに住んでいても同じ区分で介護度が判定されます。

意外なことに要支援、要介護者は、第1号被保険者(65歳以上)の18.4%になり、残りの8割強の方は介護サービスを利用していません。
ただし、75歳以上になると日常生活に支障がある高齢者が増え、85歳以上で半数近くの方が要介護認定を受けるようになっています。
要支援と要介護の違い
要支援・要介護とありますが、どのような違いで分類されているのでしょうか。
表でまとめてみました。
要支援 | 要介護 | |
状態 | 基本的に一人で生活できる 一部に介助を必要とする | 日常生活全般で誰かの介護が必要 思考力、理解力など認知機能の低下がある |
利用できるサービス | 介護予防サービス | 介護サービス |
基本的に自分で生活ができるか、生活全般で介護が必要かどうか要支援・要介護に分けられます。
認知機能の低下がみられると、基本的には要介護になりますが、物忘れ程度の軽い症状であれば要支援と判断される場合もあります。
介護の必要度合いにより分類 8つの段階
では、どのような目安で介護度が分類されているのでしょうか。
ここでは、必要度合いの目安を一覧にしてみました。
要介護度 | 要介護認定の目安 | 状態の目安 |
---|---|---|
自立 | 支援が必要ない状態 | 日常生活を一人で送ることができる |
要支援1 | 基本的には一人で生活できる状態だが、一部な動作には部分的な介助を必要とする。 適切なサポートがあれば、要介護状態になることを防ぐことができる。 | 基本的に一人で生活できるが、身の回りのことの一部に見守りや手助けが必要。 |
要支援2 | 基本的に一人で生活ができるが、要支援1と比較して、日常の複雑な動作に介助を必要とする場面が多くなる。 適切なサポートがあれば、要介護状態になることを防ぐことができる。 | 歩行、整容など一部で支援を必要とする場面が多い。 |
要介護1 | 基本的に一人で生活できる状態だが、要支援2よりも身体能力や思考力の低下がみられ、日常的に介助を必要とする。 | 排泄や入浴時に見守りや介助が必要。 |
要介護2 | 食事や排せつなど基本動作でも部分的な介助が必要な状態で、生活全般で見守りや介助が必要。 | 一人での歩行や移乗が困難で介助が必要。 物忘れ程度の認知症初期症状がみられる。 |
要介護3 | 基本動作だけでなく全面的な介助が必要な状態で、思考力や理解力の低下が見られる。 | 食事、更衣、排せつなど、日常生活において基本的に介助を必要。 認知機能の低下による対応が必要がある。 |
要介護4 | 移動なども含め全面的な介助が必要な状態で、介助がなければ日常生活を送ることができない。 | 食事、更衣、排せつなど、日常生活において介助が無いと生活できない。 認知機能の低下による対応が必要がある。 |
要介護5 | 介助なしに日常生活を送ることができない。意思の疎通も困難な状態。 | 日常生活全般が自分で行えないため、寝返りなども含め全てで介助が必要な寝たきりの状態。 意思疎通も困難。 |
要支援と要介護の境界線となる2つの基準
詳しい分類を見ていくと「要支援2」と「要介護1」の分かれ目が分かりずらいと思う人もいるのでないでしょうか?
要支援と要介護では受けられる使えるサービスも大きく変わってくるので知っておきたいポイントですね。
「要支援2」と「要介護1」の違いは2つの観点で区分されます。
●1 認知症の有無
身体機能など適切なサポートがあれば介護状態にならないと判定されれば要支援です。
ただし、身体機能だけでなく思考力や理解力の点も判定をする際の目安になります。
いわゆる認知症の疑いが高いと判断された場合、要介護1と判定される傾向があります。
●2 状態の安定性
主治医の意見書などの調査より、半年以内に必要とする介護の量が大きく変わる可能性があると判断された場合、要介護1と判定されます。
このどちらか1つでも当てはまると判断された場合は「要介護1」と判定される可能性があります。
要支援と要介護で受けれるサービスの違い
要支援と要介護では利用できるサービスにどのような違いがあるのでしょうか。
要支援は要介護に進まないための予防のためのサービスを受けることができます。
以下の表に利用可能なサービスをまとめてみました。
サービス名 | 要支援1・2 | 要介護1~5 |
---|---|---|
訪問介護 | 〇 | 〇 |
訪問看護 | 〇 | 〇 |
訪問入浴 | 〇 | 〇 |
訪問リハビリテーション | 〇 | 〇 |
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | × | 〇 |
夜間対応型訪問介護 | × | 〇 |
デイサービス | 〇 | 〇 |
通所リハビリテーション | 〇 | 〇 |
小規模多機能型居宅介護 | 〇 | 〇 |
看護小規模多機能型居宅介護 | × | 〇 |
短期入所生活介護 | 〇 | 〇 |
短期入所療養介護 | 〇 | 〇 |
特別養護老人ホーム | × | 原則要介護3から |
介護療養型医療施設 | × | 〇 |
介護老人保健施設 | × | 〇 |
介護医療院 | × | 〇 |
グループホーム | 要支援2から利用可能 | 〇 |
地域密着型介護老人福祉施設 入所者生活介護 | × | 〇 |
特定施設入居者生活介護 | 〇 | 〇 |
特定福祉用具販売 | 〇 | 〇 |
福祉用具貸与 | 〇 | 〇 |
住宅改修費の支給 | 〇 | 〇 |
要支援の方が受けられるのは「介護予防サービス」のため、支援・見守りの側面が強いのが特徴です。
高齢者は身体機能の低下により、ついつい外出する機会や人との交流が減ってしまいがちです。
介護度の進行を防ぐことに加え、地域の方やスタッフとコミュニケーションをとることで、安心感があり、自立して生活する生活意欲も向上する効果も期待されます。

この記事は専門家が監修しています
介護福祉士/終活アドバイザー
青葉 時生
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