【介護老人保健施設とは?】老健の働き方を徹底解説

介護の仕事の種類

介護老人保健施設は高齢者施設や事業所で働くと、良く耳にする施設ですよね。
入居前とか退院後に「老健」が絡むことが良くあります。

介護業界で働いている人の中には、老健という言葉はよく聞くけどどんな施設なのか詳しく知らない方もいるのではないでしょうか。

介護業界で転職を考えているのなら、今後のために老健について詳しく知っておいた方が良いでしょう。

この記事では介護業界で転職や就職を考えている人のために「介護老人保健施設(老健)」の詳細と、働き方を徹底解説していきます。

介護老人保健施設とは

介護老人保健施設(老健)は高齢者が病院などから退院する際に、介護の度合いが高いままでは自立した生活を送ることが難しい場合、間に老健に入居して在宅復帰の支援をする施設です。

介護保険サービスが適用される公的施設の1つになります。

ざっくりとまとめると以下の通りです。

老健とは
  • 介護保険施設(介護保険サービスで利用できる公的施設)のひとつ
  • 介護・看護といったサービスに加えて、医師のサポートを提供
  • 理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリを行うスタッフが駐在
  • 基本的に要介護1以上か40~64歳の特定疾病による要介護認定を受けている方の施設

  • 在宅復帰、在宅療養支援のための地域拠点となる施設
  • リハビリテーションを提供する機能維持・改善の役割を担う施設

介護老人保健施設は主に自宅へ戻るためのリハビリテーションや医療的ケアが目的とされており、施設自体は病院のように相部屋やユニット型になっていることが多くなっています。

基本的に、3~6か月で在宅復帰への準備をし退所となります。

介護老人保健施設の人員配置

老健は在宅復帰と在宅療養支援を行うための施設になり、医療的ケアなどの提供もあるため、人員配置については細かい決まりがあります。

医師常勤1以上、100対1以上
薬剤師実情に応じた適当数(300対1を標準とする)
看護・介護職員3対1以上、うち看護は2/7程度
支援相談員1以上、100対1以上
理学療法士、
作業療法士
又は言語聴覚士
100対1以上
栄養士入所定員100以上の場合、1以上
介護支援専門員1以上(100対1を標準とする)

医師や看護師、機能訓練指導員の配置が定められていて、手厚い医療、リハビリのための施設ということがこれからも分かります。

また、居宅マネージャーとも密に連携し、退院後の自宅に福祉用具の準備などをすることで、在宅復帰をサポートします。

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介護老人保健施の仕事内容

老健の仕事は、通常の施設同様、食事介助や入浴介助、排泄介助などの身体介助から、リハビリスタッフや看護師、医師との連携も欠かせません。

食事の提供・介助在宅復帰を目指すためには健康維持のための栄養バランのとれた食事が欠かせません。
利用者ごとの嚥下状態や体調に応じて食形態も変更にも対応します。
入浴介助基本的に週2回の入浴を実施します。
入所者の体調に合わせて、機械浴などを利用します。
健康上の理由などで入浴が難しい場合は、清拭を実施します。
排泄介助排泄の間隔を考慮して定期的にトイレに誘導したり、寝たきりなど、トイレでの排泄が難しい場合には、ベッド上で排泄の介助をします。
その他身体介助移動、見守りなど安全に施設での生活ができるように介助を行ないます。
リハのサポート・連携在宅復帰を目指すための施設になるため、リハビリは、ほぼ毎日実施されます。
機能訓練指導員のサポートや誘導などをします。
また、生活リハビリなどの実施もあるため連携が大切です。
看護師のサポート・連携医療的ケアなどがある場合にはサポートをすることも有ります。
また、介助の際の医療的視点からの注意点などあれば連携も大切になります。
生活リハビリ本格的なリハビリは機能訓練指導員が行いますが、介護職員は日常生活を通して生活リハビリを行います。

毎日のようにリハビリを実施するため、多職種連携が必須となります。

レクリエーションを実施する機会は少なく、実施している施設の場合には作業療法士と連携をとりながら作業療法を取り入れたレクリエーションを実施することも有ります。

夜勤はあるの?

老健の夜勤は、1人以上の配置が義務づけられています。
最近では、看護師も24時間配置している施設も多くみられるようになりましたが義務ではありません。

退院後の高齢者が入所しているため、状態の急変などもあり緊急時の対応も必要になります。

介護老人保健施設の一日の流れ

日勤帯の介護スタッフの一日の流れを紹介します。

時刻業務内容
8:00申し送り、引継ぎ
8:30バイタルチェック
9:00入浴介助
11:30昼食配膳、食事介助
12:30昼食下膳
13:00休憩
14:00リハビリのサポート
16:00トイレ誘導
16:30夕食準備
17:00申し送り後、退勤

日勤帯の介護スタッフの一日の流れは以下のようになります。

時刻業務内容
17:00申し送り、引継ぎ
18:00夕食介助
19:00就寝介助
21:00消灯・夜間巡回
6:00起床介助
7:00朝食準備・朝食介助
8:00口腔ケア
17:00申し送り後、退勤

施設によって違ってきますが、大まかな流れはこのようになります。
早番、日勤、遅番など様々なシフトがあるため、連携をとりながらスムーズに業務をこなしていきます。

給料はどれくらい?

下のデータを見ると分かる通り、老健の給料は他の施設にくらべ高い基準ということが分かります。
もちろん、夜勤の手当があるからという部分もありますが、収入が高いことは仕事先を考える上で、メリットの一つといえるでしょう。

介護職員の平均給与額の状況(月給・常勤の者、サービス種類別)
令和3年9月令和2年9月
(令和3年-令和2年)
介護老人福祉施設328,120円306,400円21,720円
介護老人保健施設323,770円301,650円22,120円
介護医療院290,140円280,420円 9,720円
訪問介護286,920円272,500円14,420円
通所介護275,670円264,730円10,940円
通所リハビリテーション326,940円318,560円8,380円
特定施設入居者生活介護313,160円299,590円13,570円
小規模多機能型居宅介護267,470円255,860円11,610円
認知症対応型共同生活介護287,670円277,660円10,010円
全 体 293,800円 280,390円13,410円
参照:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果

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介護老人保健施で働くメリット

老健で働くメリットは以下の通りです。

老健で働くメリット
  • 医療やリハビリに関する知識や経験を得ることができる
  • 身体的な負担が少ない
  • 在宅復帰という目標を持って利用者や多職種と一つになって協働できる

一つずつ紹介していきます。

医療やリハビリに関する知識や経験を得ることができる

老健は他施設に比べて医師や看護師、リハビリ職などの専門職の人員配置比率が高く、医療ケアやリハビリに関する知識や経験を得られる機会が多くあります。

他職種との連携をしながらの仕事になるため、医療に関する知識、リハビリに関する知識を身に着けながら介護スキルを向上させることができます。

介護職としてスキルアップして専門性を高めたいという方にとっては、大きなメリットになるでしょう。

身体的な負担が少ない

老健の利用者は在宅復帰を目指しているため、特養よりも介護度が低い傾向にあります。
業務内容もリハビリ業務が多くなり、レクリエーションの準備や企画で頭を悩まされることも少なくなります。

特養などでは忙しくて入居者に向き合えないという方は、一人ひとりとコミュニケーションを取る時間も多いため、おすすめです。

在宅復帰という目標を持って利用者や多職種と一つになって協働できる

老健にいる利用者全員が在宅復帰という目標があり、在籍する職員全員も同じ目標を限られた期間で達成するために協力し合い業務を遂行します。

一人の利用者に多職種が同じ目標に突き進むことができます。

これほどの多職種との一体感や達成感は他の施設ではなかなか無いでしょう。

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介護老人保健施で働くデメリット

それでは、介護老人保健施で働いていて辛いことはどんなものがあるのでしょうか。

老健で働いて辛いこと
  • イベントやレクリエーションが少ない
  • 利用者の回転が早い
  • 医療、リハビリ主体の仕事が多く、介護はフォロー的立場になる

介護老人保健施といったある意味特殊な環境だからこそのデメリットがあるようです。

イベントやレクリエーションが少ない

一日の流れを見てもわかる通り、午後の時間にリハビリを実施する施設が多く、イベントやレクリエーションをする機会が少なくなります。

レクリエーションなどで利用者が喜んでもらう姿を見ることに喜びを感じる人にはデメリットになるでしょう。

毎日レクリエーションを実施している施設も意外とあるため、老健に魅力を感じている方は探してみるといいでしょう。

利用者の回転が早い

老健は在宅復帰という目標に向かって約3か月~6か月で退去していきます。
長期間での居住や看取りに対応している施設に比べ、利用者との関わりが短くなってしまいます。

そのため、利用者のしたいこと、やってみたいことなどを実現する長期的な目標に関わることができません。

一人ひとりの長期的な目標をサポートしたい考えている方には味気ないものに感じるかもしれません。

介護の仕事のどこに魅力を感じているのかを見極めることが重要です。

医療、リハビリ主体の仕事が多く、介護はフォロー的立場になる

他の施設だと、利用者の事を一番知っている介護職が、より良い暮らしをしてもらうために介護方法やレクリエーションなどを提案する場面が多くありますが、介護老人保健施設は在宅復帰という目標があるが故に、医療、リハビリなどの専門職主体の業務内容になりがちです。

介護方針に戸惑うことも有り得ます。

まとめ

老健の仕事は、一人の利用者の目標に向かって多職種がひとつになって協働する魅力があります。
介護職をやっていて、看護師や機能訓練指導員の仕事に興味を持ち、資格の取得を目指す人もいます。

逆に短期間で退去することがほとんどで、ゆっくりと利用者と関わっていきたいと考えている方には不向きかもしれません。

自分が介護の仕事の「どこに魅力やを感じているのか」「どこにやりがいを感じるのか」を見極めることが重要です。

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