介護における回想法とは?実践方法や効果・注意点

介護の役立ち情報

介護は、高齢者や障がい者など、日常生活を支援する必要がある人々に対して、身体的、精神的なケアを提供します。
また、適切な介護サービスには、その人の個性や経験、文化的背景を理解し、その人に合ったケアを提供することが求められます。

そこで、回想法が注目されています。

介護現場では、利用者とコミュニケーションを取るために利用されることが多く、高齢者や認知症の人々との関係性を築くための手段としても有効です。

この記事では、回想法とは何か?実践方法や効果、注意点などを詳しく説明します。

回想法とは

回想法とは、過去の経験や思い出を振り返ることで、心のケアを行う方法です。

高齢者の方々には、昔の思い出や体験がたくさんあります。
そのため、回想法を取り入れることで、過去の思い出や経験を振り返ることができ、自己肯定感を高めることができます。

また、回想法は、記憶力や認知力の低下が進んでいる高齢者の方々にも効果的です。
過去の思い出や経験は、長期記憶に残っているため、認知力の低下による短期記憶の喪失があっても、回想法によって過去を振り返ることができます。

回想法を用いた介護の効果とメリット

回想法を実施することで、様々な効果と介護上でのメリットが見られます。

コミュニケーションの促進

回想法は、高齢者や認知症の人々とのコミュニケーションを促進することができます。

過去の思い出や経験を話すことで、高齢者との共通点を見つけることができ、信頼関係を築くことができます。

自己肯定感の向上

過去の経験や思い出を振り返ることで、利用者の自己肯定感を向上させることができます。

過去に自分が経験したことや成し遂げたことを思い出すことで、自立した生活を続ける自信を持つことができます。

認知症の進行を緩やかにする

回想法は、認知症の進行を緩やかにする効果が期待されます。

認知症の人々は、新しい情報を記憶することが困難であるため、過去の経験や思い出を振り返ることで、脳を刺激し、認知症の進行を緩やかにすることができます。

ストレスを軽減する

過去の思い出や経験を振り返ることで、高齢者の方々のストレスを軽減することができます。

ストレスと認知症は相関性があり、ストレスによって発生するホルモンは、全身の血流を悪くし、認知機能に影響を及ぼします。

楽しかったり、嬉しかった過去の思い出や経験は、その思い出を振り返ることで、ストレスを軽減することができます。

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回想法の具体的な方法

回想法には、いくつかの方法があります。
ここでは、主な方法を紹介します。

対話を通じた回想法

介護者と利用者が対話をしながら、過去の思い出や経験を振り返る方法です。

利用者が過去に行った旅行や、好きな食べ物などについて話をしたり、子育てや仕事など、高齢者が興味を持つものや、昔の趣味や大切にしていたテーマに沿って話をすることで、コミュニケーションを促進し、自己肯定感を向上させることができます。

音楽を用いた回想法

過去の懐かしい音楽を聴きながら、その音楽に関する思い出やエピソードを聞く方法です。

音楽には、記憶を呼び起こす力があります。

そのため、過去の思い出を呼び起こすことができます。
また、音楽に合わせてリズムをとったり、歌ったりすることで、高齢者の方々の身体も活性化されます。

視覚的な回想法

過去の写真を見て、その写真に関する思い出やエピソードを聞く方法です。
写真を見ることで、過去の思い出をより具体的に思い出すことができます。

また、高齢者が自分自身の過去を振り返ることができ、自己肯定感を高めることができます。

季節や風景を見て話を聞く方法

外出やドライブをして、季節や風景に関する話を聞きながら、過去の思い出やエピソードを話す方法です。

例えば、春には桜や新田の風景について話を聞きながら、昔の思い出を振り返ることができます。

季節や風景には、人々の心に残る風景や思い出がたくさんあります。
そのため、季節や風景を見ながら話を聞くことで、高齢者の方々の思い出を呼び起こすことができます。

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回想法の注意点

介護において、回想法は高齢者の生活において大きな役割を果たしています。
回想法を活用することで、高齢者の心身の健康を維持し、生きがいや自尊心を育てることができます。

しかし、回想法を実施する際には、以下のような注意点を考慮する必要があります。

話題の選択

回想法を行う際には、話題の選択が重要です。
過去の出来事を思い出すことで、高齢者が逆にストレスを感じたり、悲しい思い出を持ち出された場合には、逆効果になることがあります。

ポジティブな思い出を共有することで、楽しい気分を味わうことができます。

タイミングの選択

回想法は、高齢者が気分が乗っているときに行うことが重要です。
高齢者が疲れたり、ストレスを感じているときには、回想法を行うことは避けるべきです。

高齢者がリラックスし、安心感を得られる時間帯に実施するようにしましょう。

コミュニケーションの方法

回想法を行う際には、高齢者が話しやすいコミュニケーションの方法、シチュエーションを採用することが重要です。

高齢者が聞き手と話し手として同じ立場にいるような雰囲気を作り、安心感を与えるように心がけましょう。

適切なサポート

回想法を行う際には、高齢者が適切なサポートを受けられるようにすることが必要です。

高齢者が話しにくい場合は、スタッフが積極的に関心を示し、話を促すことが必要です。

また、高齢者が思い出を話し終えた後には、スタッフが積極的にフィードバックや会話を盛り上げることで、高齢者の自尊心を育てましょう。

まとめ

回想法は、介護現場で利用者とのコミュニケーションを促進するための手法として、有効な方法です。

対話を通じた回想法や音楽を用いた回想法など、様々な方法がありますが、利用者の興味や状態に合わせて、適切な方法を選択することが重要です。

回想法を通じて、利用者が自己肯定感を高め、生きがいを見つけることができるよう、介護者がサポートしていきたいですね。

この記事は専門家が監修しています
介護福祉士/終活アドバイザー
青葉 時生

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